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バーチャルの具体性
2021.05.16.Sun
06.03.Thu
キュレーション アレクサンドル・タルバ
アーティスト 太湯雅晴, 花岡美緒, 石川雷太, ジャン=バティスト・ラングレ, 松澤宥, ゾエ・シェレンバウム, シン・ダンウェン
主催・キュレーション アレクサンドル・タルバ 協力 髙木遊, The 5th Floor, 花園アレイ 助成 公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京, 公益法人財団笹川日仏財団, 公益財団法人野村財団, 公益財団法人朝日新聞文化財団 デザイン 岡崎真理子 お問合せ アレクサンドル・タルバ: a.taa@tutanota.com
リアリティーには「アクチュアル」と「バーチャル」2つの次元があり、バーチャルは現実の一部であるのであって、現実の抽象的な次元へのアクセスは、我々の具体的な存在の強化に基づいている。言い換えれば、世界全体がバーチャルに向かっているように見える一方で、物質もまた増殖し続けるということである。 デジタル時代の技術的な過剰生産によって引き起こされた生態学的・社会的危機と、新型コロナウイルス感染症によって加速するデジタルの重要性を並行させ、デジタルゴミが仮想空間を支えるために現実の空間に侵入する一方で、労働者は劣悪な環境でポストモダンの装置全体を生産しているというバーチャルの倫理的な側面を浮き彫りにする。 ハードウェアはバーチャルを可視化するという媒体の役割を果たしているが、その機能を超えて、それは物質的で具体的な装置であり、現在に固定されることで、非物質的で抽象的なものを探求することを可能にしている。ハードウェア上であれ、クラウド上であれ、データは媒体としての役割を果たす物質的・具体的な基盤なしには存在し得ない。 また、記憶や夢はデジタルに先行するバーチャル領域でもある。有機メモリはデジタルメモリと同じように物質的・具体的な基盤が必ず存在する。 「バーチャルの具体性」を構成する作品は、これらの問いに答えるために、バーチャルの象徴としてのモチーフを視覚言語としている。各アーティストが違った視点で、問いの答えを模索することで、バーチャルの複雑性と可能性を提示することが出来るであろう。
アレクサンドル・タルバ パリ第 8 大学の美学の博士課程、国費研究生として東京大学総合文化研究科超域文化専攻表象文化論研究室で研究。研究テーマは日本の戦後美術と映画における原爆の表象。原子力時代禍の虚無、記憶そしてバーチャルに焦点を当てる。彼は田邊元の「原子力時代の恐怖」という概念と戦後日本の近代性をめぐる議論や、60 年代の政治運動が交錯する傾向を論じている。ジル・ドゥルーズ、ギュンター・アンダース、無政府主義哲学に影響を受け、戦後の平和活動と現代の反核運動、直接行動とオルタナティブ・アートシーンとの関係を歴史的視点から研究している。ポスト近代性という概念、また、ポップカルチャーにおけるディストピア的な物語にも関心を抱いている。International Coalitionto Ban Uranium Weapons (ICBUW)でも活動。
太湯雅晴 芸術家。公共の場に於ける創造的行為の可能性をテーマに活動。社会制度に介入し、そのシンタックスを組替えることで日常の中にバグの様に違和感を生じさせる。 2011–14年 Resort(横浜)を運営。主な展示に 2013年「原子力 明るい未来の エネルギー」(Resort、横浜)、2012年「まちづくりのためのプロジェクト/黄金町」(Resort、横浜)、2007年「LOCKER GALLERY at TOKYO NATIONALMUSEUM」(東京国立博物館)等。今夏、「明るい未来のための記念塔」(銀座、東京)発表予定。 http://futoyu.com 花岡美緒 東京とパリを拠点に活動。早稲田大学で心理学を学んだ後、Gerrit Rietveld Academieファインアート学科を卒業。パリ第8大学造形芸術学科修了。非個人的体験を、持続的時間やエロティシズムとの関係性の中でどのように表現出来るかを模索し、変容し続ける存在を « 持続 »として捉える装置を作る試みを続けている。 近年は、夢を共同体験に推し進めるプロジェクトOnirisme Collectifの企画も行う。主な活動に「Onirisme Collectif#7」(オンライン、2021年)、「CALL FOR PERFORMERS -Onirisme ollectif-」(Midpunkt、アイスランド、2019年)「Onirisme Collectif#5」(シテ産業科学館、フランス、2018年)など。 http://miohanaoka.com/ 石川雷太 1965年、茨城県に生まれ。鉄、ガラス、言葉、骨、放射性物質、武器、TV ニュースの画像、ノイズ音など、多種多様な引用と組み合わせ(サンプリング&ミックス)により、物質と人、自然や戦争の問題まで、様々な角度から〈世界〉を映し出す。1997 年よりノイズ・パフォーマン・スユニット「Erehwon」を主宰。「イノチコア」「混沌の首」共同主宰。3.11 以後は、放射性廃棄物ドラム缶を日本中に運びパフォーマンスを行う。主な展示は、森美術館、府中市美術館、イスラエル美術館、原爆の図丸木美術館、日本アンデパンダン展、BIWAKOビエンナーレ、他。http://erehwon.jpn.org/raita_ishikawa ジャン=バティスト・ラングレ 1984年ニーム生まれ、パリを拠点に活動。パリ第3大学で映画の修士号取得後、パリ国立高等美術学校に編入、2017年にSACRe博士課程において論文「失われた地平線:実験映画と彫刻はいかにしてインスタレーションの可能性を開くか」を執筆。フランス国内および海外の展覧会で作品を発表している。アートセンター「バーチャル・ドリーム・センター」www.virtualdreamcenter.xyz、陶器の3Dプリントを専門とする「アトリエ・ルミエランテ」www.atelier-lumierrante.comの共同設立者。 松澤宥 1922年2月2日、長野県諏訪下諏訪町生。早稲田大学理工学部建築学科卒。40年代より詩作し、現代詩同人を組織。詩作から美術に転じ、52年美術文化協会会員となる。55年フルブライト交換教授として2年間滞米。64年6月1日「オブジェを消せ」という啓示を受けて、美術を言葉だけで表現する観念芸術を創始。以後国内外の美術展などで「人類の消滅」を警告する展示、パフォーマンスを行う。また、「ニルヴァーナ」展(京都市美術館)、「世界蜂起」など、展覧会、メールアートを企画た。76年ヴェネチアビエンナーレ、77年サンパウロビエンナーレに参加。90年代よ「量子芸術論」をテーマに制作を続けたが2006年逝去。生涯諏訪を拠点とした。 https://www.matsuzawayutaka-psiroom.com/ ゾエ・シェレンバウム 1990年、ニューカレドニア生まれ。現在、東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻在籍。「ゲニウス・ロキ/場の精」という異文化的問題を通じて、人と、人が住む、或いは通り過ぎる場所の間で現れる「もつれ合い」の、詩的な性質を美術的な実践で探る。現在の研究は、出生地ニューカレドニア、育った場所フランス、そして現在住んでいる日本に拠点をおく。これら3つの地域間の往復の旅、そして学際的な出会いから、エッセイフィルム、テキスト、パフォーマンスなどを制作している。 http://www.zoeschellenbaum.com/ シン・ダンウェン 80年代後半、写真と出会ったシン・ダンウェンは、すぐにこのメディアに引き込まれ、独学で写真を学んだ。80 年代後半から90年代にかけて、中国で写真の限界を探り、芸術として写真の可能性を模索した数少ないアーティストの一人。アジアン・カルチュラル・カウンシルの助成金とフェローシップを得てニューヨークに渡り、1998年–2001年School of Visual Artsで修士号を取得。ホイットニー美術館、ポンピドゥーセンター、国際写真センター、ヴィクトリア&アルバート美術館、第1回横浜トリエンナーレ、2004年シドニー・ビエンナーレなど、国内外で展覧会を行っている。http://www.danwen.com/web/