パフォーマンスプラットフォームStilllive(スティルライブ)は、パフォーマンスの理論的・実践的な考察、身体の諸問題をめぐる知識生産に取り組む「Stilllive Studies 2025:Interdisciplinary Performance(学際的パフォーマンス)」を開催します。2023年、Stillliveは初回となる2019年から培ってきた領域横断的な協働の経験を基に、パフォーマンスに関する学びの場を開く「Stilllive Studies」を開催しました。会期中には、複数のアーティストが各自の経験をもとに、都市、政治、ジェンダー、コミュニティなどの課題を参加者とともに深掘りするプログラムを合計16回開催しました。今回のスタディーズ・プログラムでは、これまで芸術のみならず、武術、ゲーム、歴史、料理など様々な分野の知識や手法をリサーチし、多面的な活動を展開してきたアーティストを招き、トーク、ワークショップを含む体験型プログラムによってパフォーマンスの学際的な可能性を探っていきます。
#5 大岩雄典「盗み取ること=インスタレーション(In-steal-lation)」
トーク
日時:10月25日(土)15:00〜16:00
会場:The 5th Floor
参加費:無料(要予約、定員20人)
ワークショップ「レディメイドは盗品である」(事前課題あり)
日時:10月25日(土)16:10〜18:00
会場:The 5th Floor
参加費:2000円(要予約、現地での現金払い、定員12人)
インスタレーションは雲をつかむような芸術だと思います。ただモノを一部屋に並べるだけでない、雰囲気、空気をひとおさめに作るような。インスタレーションをよく「空間芸術」と言いますが、キュレーターのジェルマーノ・チェラントの言う「領域芸術(spherical art)」のほうがしっくりきます。
「領」という字の意味は「占める」です。空間を「占める」と運命を「占う」は同じ字を使います。漫画『呪術廻戦』の呪術師たちが「領域展開」すると、その領域の中では自分の「呪術」は相手に必中する。まじない、うらないは本来このような、空間=世界を占める術でしょう。
僕はこの術の出どころのひとつを、18世紀啓蒙主義に求められるだろう、と見ています。ひとつに治められる空間として「国家」を設定するアイデアや技術が元ネタではないか。2024年に制作したインスタレーション《killing》では、明治時代、つまり日本の近代化の折にヨーロッパから輸入された「決闘罪」をモチーフに、法(刑法)の観点からこの空間を考えました。私の生命、私の身体、私の決断力は、どのようにおさめられているのか?
今回のトーク/ワークショップは、ここから展開させて着想しています。題材は、近代的国家の要である「私有」の裏面である「盗み」にしようと思います。
ワークショップは、「レディメイド」と「占有/所有」を題材としたものにします。
参加者が内容の説明を事前に受けたうえで、参加の度合いを各自が判断=制作できる形にします。