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残り火
2025.07.05.Sat
08.03.Sun
キュレーション リ・アンチー、カトリン・ブジョーグ・グナースドッター
アーティスト 尹苑、小野栞、白川深紅、三宅 珠子
開場時間 13:00 - 20:00 (最終入場19:30) 閉場日 火、水 入場料 ¥500 主催 The 5th Floor The 5th Floor 賛助 D/C/F/A 設営サポート ウルフ・ブラギ・エイナルソン 【イベント】 オープニングレセプション 2025.7.5(土)18:00 – 21:00 18:00 – 18:30 展覧会受付 18:30 – 19:00 キュレーターによる展覧会紹介 19:30 – 20:00 遊舞舎によるダンスパフォーマンス 20:00 – 21:00 Closing パフォーマンス:出発 尹 苑|Yin Yuan 7.15(火) 20:00 – 21:00 7.22(火) 20:00 – 21:00 7.29(火) 20:00 – 21:00 *火曜日は休館日ですが、出発の時間帯のみオープンいたします。
飽和しすぎた時代の中で、静かな声のための場所をつくれるだろうか? 生と死との出会いからインスピレーションを得た四人の作家が、私たちに足を止め、ゆっくりと耳を傾けるように誘う。彼女たちの作品は孤独や抹消に抗い、生と死を一つの呼吸へと織りあげる――死は生きた命を証し、生はその残響を抱き続ける。 こうした絡み合いを描くために、作家たちは綿毛や菩提樹の葉、絹糸、陶、金属繊維、段ボールといった、脆くも強靭な素材を手に、生と死の対称的な輪郭をたどる。三つの個室を巡るうちに、作品同士のささやかな呼応が浮かび上がる。三宅珠子による無言の祈りの彫刻は、尹苑のドールハウスの出発を見送り、白川深紅が慈しむ祖父の形見は、小野栞が拭った涙に寄り添う。喪失のただ中で息づく気配が、灰の中の残り火のように静かに揺らめく。
黎安琪|Li Anqi  1994年、中国湖南省生まれ/カナダ ウェスタン大学リチャード・アイビー経営管理学部およびオンタリオ州立芸術大学芸術学部批評・キュレーション専攻を卒業。現在、国費留学生として東京藝術大学大学院国際創造研究科修士課程キュレーション領域に所属。 主な企画展覧会には、「音はいつ、音になる?」(コ・キュレーター、東京藝術大学陳列館、2025年3月)、「呼応する」(コ・キュレーター、美術愛住館、2024年)、「Tea Leaves」(Project Space at Banff Centre for Arts and Creativity、2023年)、「Refiguring」(Clark Centre for the Arts、2023年)、「Joy. Sorrow. Anger. Love. PRIDE. — A Celebration of Toronto Pride, from 1970 to Present」(Collision Gallery、2023年)、「Flowing Still」(Xpace Cultural Centre、2022年)などがある。 カトリン・ビョルグ・グンナルスドッティル|Katrin Bjoerg Gunnarsdottir 1994年、アイスランド・アークレイリ生まれ 2021年アイスランド芸術大学美術学科を卒業し、主に音を素材とする制作を行う。現在、国費留学生として東京藝術大学大学院に在籍し、キュレーションを専攻中。 これまでのキュレーションプロジェクトには、「定点観測のあいだ」(ATRIUM 蔦屋書店〈銀座シックス〉、2023年)、「呼応する」(美術愛住館、2024年)、「音はいつ、音になる?」(東京藝術大学陳列館、2025年3月)、「My Space」(アークレイリ美術館、2025年6月)などがある。
尹苑|Yin Yuan 1993年中国上海生まれ。アメリカシカゴ美術学院(SAIC)視覚伝達専攻修了後に渡日。2023年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了し、現在は同大学彫刻研究領域博⼠後期課程に在籍中。 パフォーマティブ・インスタレーションによるミクストメディア作品を通じて、他者や環境(外部)から個⼈意識(内部)に対する⾒えない束縛と、内部から外部に対する条件反射や内在化する過程を具現化する。近年では、人が無意識に重複する習慣やルーティン化された日常行為をモチーフにした作品を制作し続けている。 小野栞|Ono Shiori 1995年東京生まれ。2022年に東京造形大学大学院博士課程修了。アーティスト兼デザイナーとして活動し、「淡い空間性」をテーマに一本の糸から衣服を制作する。糸という「素材」と布を織る「技術」を組み合わせた作品を展開。小野の作品は、テキスタイルデザインの繊細なニュアンスを探求する。彼女の実践は、緻密なクラフトマンシップと素材への深い関与が特徴。作品の中では異なる手法や素材を並置し、ダイナミックな対比を生み出すことでテキスタイルに対する従来の認識に問いを投げかける。こうした意図的な組み合わせによって観る者を作品の触覚的・視覚的な相互作用へと誘い、微細な感情や抽象的な概念を喚起する。2017年にZOKEI賞を受賞し、第57回日本クラフト展では経済産業大臣賞および日本クラフト大賞を受賞。 白川深紅|Shirakawa Sync 1998年東京都生まれ。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科在籍。壁画制作を中心にドローイングやデザインの手法を組み合わせた活動を行っている。いかに生き物や世界の生死と向き合い、彼らを「祀り」あげて楽しく生きるのか試行錯誤しながら、宗教美術の文脈を踏まえ画材を作り、絵を描いている。 三宅珠子|Miyake Suzuko  東京藝術大学グローバルアートプラクティス専攻在籍。東北育ち。人ならざる他者の声を聴きながら土地と共に生きる人々の、見ているものに興味を持つ。2019年から、日本とルーマニアの魔女文化を調べている。 自然素材を元に、インスタレーション、写真をメディアとして制作を行う。また舞踏の舞台美術や衣装も手がける。見えない他者の声に耳を傾ける姿を「祈り」として捉え、自分自身も制作の中で見えない他者の存在と向き合い、それらへの返答として作品を作っている。自分の身体を媒介として、受取ったものを世界へ送りかえす。 水が地に落ち、やがて雨となり巡っていくように、 すべてのものが円環のようにつながっていることを大切にしている。